焼き鳥屋では炭火を使用することが多いですが、なぜ炭を使うのかご存知でしょうか。炭火で焼くと、食材は外は香ばしく、中はジューシーに仕上がります。本記事では、炭火と他の火入れ方法との加熱の違いや、炭火を使用するメリットについて詳しく解説していきます。
<食材への熱の伝わり方>
食材への熱の伝わり方には、大きく分けて3種類あります。
・伝導熱:熱い物体(フライパン等)に食材が直接触れることで熱が伝わるものです。焼く、炒める等の調理方法です。
・対流熱:熱せられた水や油、空気などが対流し、食材に熱が伝わるものです。ゆでる、蒸す等の調理方法で、低温調理での加熱もこれに該当します。炭火焼においても、炭で熱せられた空気や煙が食材の周りを流れることで、わずかですが対流熱が加わります。
・輻射熱:赤外線などの電磁波によって熱が伝わるものです。炭火やオーブンがこちらに該当します。太陽光によって地球が温まるのも輻射熱の一例です。
<輻射熱と赤外線の種類>
炭火焼は、熱源である炭火から赤外線が発生し、食材に吸収されることで分子運動が起こり発熱する仕組みです。赤外線には波長の短いものから順に、近赤外線、中赤外線、遠赤外線があります。低い温度域の場合は波長の短い近赤外線、高い温度域では遠赤外線が多くなります。
炭火の場合、温度が700~1000℃と高いため、遠赤外線が多く放射されます。一方、オーブンは200~250℃程度で、近赤外線が多く放射されます。
近赤外線と遠赤外線の大きな違いは、食材に吸収されたときにどこで熱に変わるかです。遠赤外線は食材の表面付近で効率よく熱に変わるため、外側はパリッと焼き上がります。これに対し、近赤外線を発するオーブン調理では、熱が内部まで進むため食材全体に均一の温度で火が通りますが、内部の温度が高くなってしまい、水分が蒸発してパサつきやすくなります。
<炭火焼のメリット>
炭火焼の最大の魅力は、「外は香ばしく、中はジューシー」という焼き上がりができることです。炭火から発せられる遠赤外線は食材の表面を短時間で焼き上げます。その後、表面の余熱が内側にじわじわと伝わるため低温調理に似たような火入れとなり、水分を多く閉じ込めておくことができます。表面の温度が高くなるため、香ばしい香りを出すことができます。
それから、炭火は輻射熱だけでなく、炭によって熱せられた空気や煙による対流熱も食材に伝わります。料理人がうちわであおぐなどした場合、その熱が循環して食材に伝わり、効率よく食材を加熱することができます。
<まとめ>
炭火焼は伝統的な手法ながら、科学的にもメリットが大きい調理法であることがわかりました。焼き鳥の香ばしい香りを感じたら、上記の内容を思い浮かべていただくと、より楽しい食事になると思います!
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