鶏肉はシンプルな味わいだからこそ、合わせる食材によって特徴が大きく変わります。その中でも「トマト」は抜群の相性を誇る食材だと思っています。
これは科学的にも説明がつきます。今回はなぜトマトと鶏肉がよく合うのかを、科学の視点から見ていきましょう。
<科学でみる鶏×トマトの相性>
リコピン:赤い色の抗酸化成分
トマトの赤い色の正体であるリコピンには、強い抗酸化作用があります。体の細胞を守る働きが注目される栄養素ですが、調理との関係も重要です。リコピンは加熱することで構造が変わり、体に吸収されやすい形になります。さらに鶏肉に含まれる脂質と一緒に摂ることで吸収効率が急激に上がります。加熱したトマトに鶏肉をあわせることは、相性抜群と言えます。ちなみにリコピンはワインにも含まれているので、「鶏とトマトのワイン煮」とすると3乗に相性がよいものになります。
酸味:脂を軽くする仕上げ役
鶏肉は旨みとコクがある反面、脂がしっかりしている部位も多い食材です。トマトの酸味はその脂っこさを和らげ、さっぱりとした味わいとしてくれます。料理全体のバランスを整え、後味を軽くする働きがあるため、酸味のおかげで食べ疲れしにくくなります。
グルタミン酸とイノシン酸:旨みの相乗効果
旨み成分は一つだけでも十分においしいのですが、複数の種類を重ねると効果は飛躍的に大きくなります。これが「うまみの相乗効果」です。
・グルタミン酸:トマトに豊富に含まれるアミノ酸の一種。野菜や昆布などにも多く、旨みの王様です。
・イノシン酸:鶏肉に多く含まれる核酸系の旨み成分。特に加熱や熟成の過程で増える性質があります。
グルタミン酸とイノシン酸は、一緒に摂ると「1+1=3にも4にもなる」ように感じられるほど旨みが強くなります。そのため鶏肉とトマトを組み合わせると、どちらか一方では味わえない複雑なおいしさが引き出されます。素晴らしい相棒です。
<レシピ:電子レンジで作る無水トマトスープ>
そんな鶏×トマトの相性を、シンプルに楽しめるレシピがあります。水を一滴も加えず、素材の水分だけで仕上げるスープです。
材料(2人分)
・トマト … 1個(乱切り)
・玉ねぎ … 1個(みじん切り)
・鶏もも肉 … 200g(一口大にカット)
・ピーマン … 2個(食べやすくカット)
・塩 … 適量
・オリーブオイル … 大さじ1
作り方
- 耐熱容器に鶏もも肉を入れ、塩をふる。
- ラップをして電子レンジ(600W)で2分加熱する。
- 玉ねぎ、ピーマン、トマトを耐熱容器に入れ、ラップをして電子レンジ(600W)で約5分加熱する。
- 鶏肉を野菜の上に乗せ、オリーブオイルを回しかけて完成です!
水を使わなくて少なくならないか?味わいは感じられないのではないか>と思う方もいるかと思いますが、トマトと玉ねぎを加熱すると水分が多く出るため、問題ございません。
味付けはシンプルですが、グルタミン酸とイノシン酸のうま味の相乗効果により、強い味わいを楽しめます。水を使わないので味がぼやけず、凝縮した味わいとなっています。
<まとめ>
トマトはリコピンや酸味、グルタミン酸といった要素で、鶏肉の良さを底上げしてくれる食材です。さらに鶏肉に含まれるイノシン酸と組み合わさることで、旨みが相乗的に引き出されます。
しかも電子レンジや炊飯器を使えば、手間をかけずにこの組み合わせを楽しめます。ぜひお試しください!
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