鶏肉は美味しいけれど、生で食べると食中毒のリスクが高い食品です。特に問題になるのが「カンピロバクター」という細菌です。牛や魚は刺身で食べられるのに、鶏だけ生では危険なのは、この細菌が筋肉の奥まで入り込むことがあるためです。
それでも居酒屋や専門店では「鳥刺し」が提供されています。一体、どうやって安全を確保しているのでしょうか。この記事では、鳥刺しを提供する飲食店の徹底した管理方法と、家庭でのリスクについて詳しく解説します。
1.鳥刺し用鶏肉は特別に管理されている
一般的なスーパーの鶏肉は、加熱して食べる前提で流通しています。一方、鳥刺し用の鶏肉は、最初から「生食用」として特別に管理されたものです。
- 特別飼育・処理された鶏
- 飼育段階で抗菌管理や衛生管理が徹底され、腸内細菌量を抑えた鶏が使われます。
- 流通中の温度管理
- 出荷から店舗に届くまで、常に低温(0〜4℃程度)で管理されます。
- 供給元の細菌検査
- カンピロバクターやサルモネラなどの検査をクリアした個体のみが出荷されます。
つまり、家庭で購入する鶏肉とは「そもそも出発点から違う」のです。
2.飲食店での調理管理
鳥刺しを提供する店では、調理段階でも細心の注意が払われています。
- 調理器具の専用化
- まな板や包丁は鶏専用で、他の食材と絶対に交差しないよう管理
- 手指・衣服の衛生管理
- 調理前後に手洗いや消毒を徹底
- 提供直前までの温度管理
- 調理後も低温で保管し、常温にさらされないようにする
- 二次汚染の防止
- 鶏の汁が他の食品や調理器具に触れないよう、作業動線も工夫
こうした管理を徹底することで、理論上「菌量を抑え、食中毒のリスクを極力低くする」ことが可能になります。
3.家庭では再現できないリスク
家庭で鳥刺しを作ろうとしても、上記の管理を完璧に再現するのは非常に難しいです。スーパーで買った鶏肉は、そもそも生食用ではありませんし、家庭の冷蔵庫やまな板では二次汚染を防ぐことがほぼ不可能です。
少しでも手が触れたり、汁が飛び散ったりするだけで感染のリスクが発生します。カンピロバクターは少量でも発症するため、家庭での生食は極めて危険です。
まとめ
鳥刺しが提供できるのは、鶏肉そのものの管理と、調理過程での徹底した衛生管理があってこそです。家庭で鶏肉を生で食べるのは、残念ながらできないようです。安全な加熱調理で、鶏肉のおいしさを存分に楽しむことが大切です。
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