東京・町田は、JR横浜線と小田急線が交差する交通の要所でありながら、街を歩けば多彩な飲食店が立ち並び、グルメ好きにとっては掘り出し物の多いエリアです。チェーン店から個性派の専門店まで、さまざまな選択肢がある町田で、今回足を運んだのは「あい庵 町田店」。ここでは、他ではなかなか味わえない「生親子丼」が提供されています。
親子丼といえば、日本人にとっておなじみの丼料理。鶏肉と卵をふんわりと煮込んでご飯にのせる、王道の“ comfort food ”ともいえる存在ですが、ここ「あい庵」では、鳥刺しの食感を最大限に生かした“生仕立て”の親子丼を味わうことができます。初めて口にした瞬間の驚きを、ぜひこの記事で追体験していただければと思います。
店舗の雰囲気とアクセス
「あい庵 町田店」は、町田駅から徒歩15分。店構えは少し古めかしさを感じさせますが、その外観とは裏腹に、中へ入ると雰囲気は一変します。明るい照明に照らされた店内はとても清潔で、きちんと整えられたカウンター席やテーブル席が広がり、すっきりとした印象。入りやすく気軽に立ち寄れる雰囲気で、ひとりでも友人同士でも安心して利用できる空間になっています。
決して大きな店構えではありませんが、逆にその分、一品一品にしっかりと手間をかけて提供してくれることを予感させる空間でした。
生親子丼との出会い
メニューの中でひときわ目を引いたのが「生親子丼」。一般的な親子丼と違い、ここで提供されるのは“生”の要素を前面に出した特別な丼です。
丼が運ばれてきた瞬間、まず目を奪われたのは艶やかに盛りつけられた鳥刺し。鮮度の高さが見た目からも伝わるようで、表面はほんのり光沢を帯び、しっとりとした質感が際立っています。その中央には、鮮やかなオレンジ色の卵黄がひとつだけ、堂々と鎮座。まるで宝石のように輝き、丼全体を引き締めています。
加熱した鶏肉やとろとろ卵で仕上げる定番の親子丼とはまったく異なり、「生の鶏肉」と「卵黄」というシンプルな構成で勝負しているのがこの生親子丼の大きな特徴です。
一口目のインパクト
まず卵黄を箸で軽く崩し、鳥刺しとご飯を一緒にすくって口に運びます。最初に感じるのは卵黄の濃厚なコクとまろやかさ。それが生の鶏肉に絡むことで、滑らかな舌ざわりが広がります。
鳥刺しは驚くほどやわらかく、それでいて噛みしめるとしっかりとした旨みがにじみ出てきます。加熱した親子丼の鶏肉とはまったく違う食感で、「生だからこそ味わえるみずみずしさ」と「肉そのものの濃さ」がダイレクトに伝わってきます。
さらに白ご飯の温かさが、卵黄と鳥刺しを優しく包み込み、温冷のコントラストが絶妙。食べ進めるごとに、丼の中で卵・鶏・米が一体となり、シンプルながらも奥深い満足感を与えてくれました。
使用されている鶏肉と卵のこだわり
ここで少し食材について掘り下げてみましょう。生親子丼を成立させるためには、何よりも食材の鮮度が重要です。特に卵は、一般的な加熱調理用ではなく「生食用」として流通しているものを使用。衛生管理が徹底された養鶏場から直送されているため、安心して生で楽しむことができます。
鶏肉についても、柔らかさだけでなく味の濃さを感じさせる部位を使用。加熱時間を最小限にとどめることで、肉汁を閉じ込め、噛むほどに旨みが広がる仕立てになっています。日本の鶏肉文化は、鮮度を活かして“生”で食べられるほどの管理レベルにあるという点でも、海外の人には驚かれることが多いのです。
薬味と食べ方の楽しみ
生親子丼はそのままでも十分に完成されていますが、付け合わせとして提供される薬味を加えることで味わいがさらに広がります。山椒をひと振りすれば爽やかな香りが全体を引き締め、刻み海苔を加えれば風味に奥行きが生まれる。さらにわさびを少量混ぜると、不思議なほど卵の甘みが引き立つのです。
一杯の丼の中で、味のバリエーションを楽しめるのも魅力のひとつ。途中で箸を止めることなく、最後まで飽きずに食べ進めることができました。
他のメニューと比較して
「あい庵」では生親子丼が看板メニューですが、それ以外の料理も見逃せません。鶏料理、和食の一品料理などが揃っており、鶏肉好きにはたまらない構成。生親子丼を主役に据えつつ、サイドメニューで鶏の唐揚げや玉子焼きを頼むと、さらに鶏の多面的な魅力を堪能できるでしょう。
また、お酒との相性も抜群で、夜はお酒のおつまみメニューが充実していました。
生親子丼が特別な理由
なぜここまで「生親子丼」が特別に感じられるのでしょうか。それは、単なる変化球ではなく、日本人に馴染み深い親子丼という料理を“逆算”して再構築しているからだと思います。
通常の親子丼は、卵を火にかけて半熟状にとじ、ご飯と鶏肉に絡めて仕上げます。それに対して「あい庵」の生親子丼は、卵を最後の最後に“生”で仕上げることで、親子丼の「卵と鶏の一体感」をよりストレートに味わえる形に昇華させています。
丼の上でとろける卵と鶏肉の関係性は、まさに「親」と「子」の一体感を象徴しているかのよう。料理名の由来を、改めて強く感じさせる一杯でした。
まとめ ― 町田で出会える贅沢な一杯
「あい庵 町田店」の生親子丼は、ただ珍しいだけではなく、食材の鮮度・調理の工夫・見た目の美しさが三位一体となった、完成度の高い料理でした。
普段食べている親子丼とは一線を画す体験でありながら、どこか懐かしさも残してくれる。そのバランス感覚こそが、この料理の最大の魅力だと感じます。町田に立ち寄った際には、ぜひ足を運んでこの特別な丼を体験してみてください。
店舗情報
- 店名:あい庵 町田店
- 住所:東京都町田市(詳細住所は公式情報をご確認ください)
- アクセス:JR町田駅、小田急線町田駅から徒歩15分
- 主なメニュー:生親子丼、だし巻き卵、鶏料理各種



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