スーパーや飲食店で「銘柄鶏」という表記を目にしたことはありませんか?
「地鶏」と並んでよく聞く言葉ですが、銘柄鶏とはいったいどのような鶏肉なのでしょうか。今回はその生産方法、歴史、特徴を整理してご紹介します。
銘柄鶏とは
銘柄鶏とは、特定の飼育方法や品種をベースに、独自のブランドとして販売される鶏肉のことを指します。
地鶏のように厳格な定義(品種や飼育期間、飼育環境など)があるわけではなく、基本的には「ブロイラーをベースに、飼料や環境を工夫して育てられたブランド鶏肉」と考えると分かりやすいでしょう。
銘柄鶏の生産方法
銘柄鶏は生産者ごとに工夫があり、多様な育て方がされていますが、一般的には以下の点が特徴的です。
- 飼料の工夫
一般的なブロイラーはコストを重視し、トウモロコシや大豆かすを中心とした配合飼料で育ちます。
それに対して銘柄鶏は、そこに米や麦、ハーブ、海藻、緑茶粉末などを加え、臭みを抑えたり、コクや旨みを引き出す工夫をしています。こうした飼料の違いが、ブランドごとの独自の風味を生み出します。 - 飼育環境の工夫
ブロイラーでは効率を優先して鶏舎内の密度を高めることが一般的ですが、銘柄鶏は通気性や照明、床材に配慮し、平飼いに近い環境でのびのびと育てることを重視しています。鶏のストレスを減らすことで、健康的に育ち、肉の質も安定します。 - 飼育期間の調整
ブロイラーは約50日で出荷されるのに対し、銘柄鶏は60〜80日ほど時間をかけて育てる場合が多いです。じっくり育てることで、肉に旨みが増し、食感もほどよくしっかりとしたものになります。
こうした工夫の積み重ねによって、銘柄鶏は「安心して選べる美味しい鶏肉」として、多くの消費者に親しまれています。
銘柄鶏の歴史
銘柄鶏が広まったのは、1970年代以降です。
- 1950年代〜
ブロイラーが急速に普及し、鶏肉が安価で手軽な食材として広まりました。 - 1970年代〜
消費者の「よりおいしい鶏肉を食べたい」というニーズが高まり、各地でブロイラーを改良したブランド鶏が誕生しました。 - 1980〜1990年代
「名古屋コーチン」や「比内地鶏」などの地鶏と並び、銘柄鶏も各地域の特産品としてPRされるようになります。
現在では、全国で数百種類以上の銘柄鶏が存在しており、スーパーや飲食店のメニューに並ぶ機会も増えています。
銘柄鶏の特徴
銘柄鶏の特徴は、ブランドごとに異なりますが、共通して次のような傾向があります。
- 肉質の良さ
しっかりした歯ごたえやジューシーさ、旨みの濃さなどが工夫されている。 - 安全性や安心感
飼料や飼育環境が明確にされており、トレーサビリティを重視するブランドも多い。 - 多様性
「柔らかさ重視」「脂のコク重視」「あっさり風味」など、消費者の好みに応じたラインナップが揃う。
具体例:森林どり
銘柄鶏の一例として、森林どりをご紹介します。
森林どりは、岩手県を中心に生産されているブランド鶏で、
- 飼料に木酢液やハーブを取り入れ、臭みを抑えたクリーンな味わい
- 鶏舎の通気性を高め、衛生的な環境で育成
- 出荷までの日数を長めにとることで、肉質のコクを引き出す
といった工夫がなされています。柔らかさとジューシーさのバランスが良く、家庭料理から外食まで幅広く利用されています。
まとめ
銘柄鶏は、ブロイラーを基盤としつつ、生産者の工夫によって生まれたブランド鶏です。
- 飼料・環境・飼育日数の工夫で肉質を高め、
- 1970年代以降の消費者ニーズから全国に広がり、
- 現在では数百種類以上の多様な銘柄が存在しています。
例えば森林どりのように、それぞれのブランドには独自のこだわりがあり、味や特徴も異なります。スーパーで銘柄鶏を見かけたら、その背景を思い浮かべながら選んでみるのも楽しいですね。
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